今、僕は休職期間を経て職場に復帰し、周囲の人たちの温かさに支えられながら働いている。
この記事は、過去の僕と同じように「理由のわからない生きづらさ」を抱え、暗闇の中でもがいている人に向けて書いたものだ。うつ状態のどん底から、どうやって前を向き、再び社会と繋がることができたのか。僕のリアルな体験が、誰かの希望になればと思う。
「普通」にしているだけなのに怒られた幼少期
思い返せば、幼少期から他の人とは違う感覚があった。自分としては「普通」に生活しているだけなのに、まるで息を吸うたびに学校の先生に怒られているような毎日だった。
当時の話し方も、今思えば一方的だったと思う。自分の興味のある話を、友達にただ押し付けていた。幸いにも友達は少なくない方だったが、その時は「発達障害」という概念すら知らず、当然ながら自分にその特性があるという自覚は全くなかった。
決定的な壁にぶつかったのは、2016年、21歳で社会に出てからだ。
会社に入っても、人の言葉がうまく頭に入ってこない。勝手な思い込みで行動してしまい、結果的に周囲に迷惑をかけてしまうことが続いた。
2020年、25歳になった僕は、本格的に精神科へ通うようになる。ここで「うつ状態」と診断されたが、実はその発症のきっかけこそが「自分は発達障害だったのだ」という自覚と直面したことだった。
合わない薬への依存と、希死念慮と隣り合わせた日々
精神科での治療は、決してスムーズなものではなかった。
最初に出された薬(コンサータ)は身体に合わず、数ヶ月間も蕁麻疹に苦しめられた。その後、別の心療内科へ移り「インチュニブ」という薬に変えてもらったが、以前の薬ほど効果を実感できない。焦りから「もっと薬の量を増やしてほしい」と頼み込み、気づけば完全に薬に依存するようになっていた。
それでも、事態は好転しなかった。
2021年から2022年にかけて、仕事でのミスが目立つようになる。薬を飲んでもダメなんだという絶望感。毎朝マイナス思考から一日が始まり、当然パフォーマンスは急激に悪化していった。
そして2023年。僕は毎日、希死念慮(死にたいという気持ち)と隣り合わせの状態で会社に通っていた。まさに、暗闇のどん底だったと思う。
限界のサインと、無理に動かないと決めた休職期
ついに限界が訪れたのは、2023年10月のこと。
会社の敷地内でうずくまっているところを他の社員に発見され、そのまま3ヶ月半の休職に入ることになった。
休職して最初の1ヶ月、僕は思い切った行動に出た。2箇所目の通院をやめ、薬漬けになっていた体から薬を抜くためにインチュニブを絶ったのだ。
しかし、これには壮絶な離脱症状が伴った。インチュニブには眠気を催す作用があるため、それを絶ったことで脳が過剰な覚醒状態に陥ってしまった。数日間まったく眠れず、毎日吐き気に襲われ、実際に吐くという過酷な日々が続いた。
しかし、その嵐のような期間を耐え抜くと、少しずつ心身が落ち着きを取り戻していった。
ここで何より大切だったのは、うつ状態であるときは無理に動かず、何もしないことだった。心が風邪をひいているときに、焦って何かをしようとしても逆効果にしかならない。罪悪感を手放し、ただひたすらに休む。そして、自分の中から「やりたいこと」が見つかってから、少しずつ動き出すこと。
心がそう教えてくれるようになってから、ちょっとしたドライブなど自分のやりたいことができるようになり、毎日外に出られるまでの回復を見せた。
「おかえり」という言葉に気づかされたこと
同時期に3箇所目となる精神科に通い始めた。処方されたのは以前と同じインチュニブだったが、今度は「自分に合った適量」だった。これが合っていたのかは断言できないが、少しずつ精神的に回復していくのを肌で感じていた。
そして主治医からの「休職期間にも見切りをつけるべきだ」という言葉に背中を押され、2024年1月、職場への復帰を果たした。
「またあの職場に戻るのか」と、復帰前は身構えていた。しかし、待っていた現現実(げんじつ)は僕の予想とは全く違うものだった。 たくさんの方から「おかえり」という、本当に温かい言葉をかけてもらったのだ。周りの人たちはもともと温かかったのに、心に余裕のなかった僕がそれに気づいていなかっただけだった。
依存と他責をやめ、「自分の意識」を変える
この休職や、薬の離脱症状という過酷な経験を通して、僕が深く痛感したことがある。
それは、「何かに依存し、うまくいかない理由を他責にしていてはダメだ」ということだ。以前の僕は、薬の効果にばかり頼りきりになり、無意識のうちに環境のせいにしていた部分があったように思う。
しかし、外の環境が良くなるのを待っていても、誰かが機会を与えてくれるのを待っていても、自分自身はいつまでも変わらない。自分を変えることができるのは、結局のところ「自分自身の意識を変えよう」と決意したときだけなのだ。
終わりに
復職してからの1〜2年は、たまに精神が不安定になり、職場で人目につかないところでうずくまってしまうこともあった。
しかし、休職から約2年半が経った今、そんなことはもうない。温かく迎えてくれた周りの方たちと共に働き、会社に貢献したいという前向きな気持ちで満たされている。
もし今、生きづらさを抱えていたり、薬のことで悩んだりしている人がいるなら、伝えたい。
どん底に思える日々にも必ず転機は訪れるし、世界はあなたが思っている以上に温かい。そして何より、自分を変える力は、すでにあなた自身の中にあるということ。僕のこの経験が、少しでも誰かが前を向くきっかけになれば嬉しい。